5,ファンからの質問に答える |
今回は直接にお話を伺えるせっかくの機会なので、BBSで大野さんへの質問を期間限定で募ったところ、次の方々から質問が寄せられました。 |
[ 岩佐さんの質問 ] 大野さんがモネ劇場の音楽監督就任決定というニュースは本当に嬉しい限りです。 私が大野さんに聞いて欲しいことは、(ワーグナーフリークとして)
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大野和士 |
私は今後もカールスルーエで、トリスタンとイゾルデ(2000年7月)、ローエングリン(2001年7月)、タンホイザー(2002年)を指揮するので、パルジファル以外のワーグナーの主要作品は全て取り上げることになります。 パルジファルは残念ながら、カールスルーエの任期中の6年間には上演する機会がありませんでした。 しかし、モネ劇場にはパッパーノが指揮したプロダクションが残っているので、それを私が引き継ぐことになれば、指揮することになります。 恋愛禁制などの初期作品も、機会があればやりたいと思っています。 残念ながら、今のところ東京フィルとの「オペラコンチェルタンテシリーズ」で取り上げる予定はありません。 |
[ 斎藤さんの質問 ] 大野氏にとってのオペラの魅力とは? オペラに惹かれるわけを(理由がなければそれはそれでよろしいのですが)伺いたく存じます。 ゆりあ様、堀江様、このBBSの皆様にとっては今さらながらのこととは存じますが、ぜひこの機会に今一度、氏が、これまで何度となくぶつけられてきたであろう、この質問のお答えをうかがってみたいのです。 というのも、オペラに感じるものが、年を経るごとに大野氏のなかで微妙に変化しつつあるかもしれないと思い、その辺をうかがえたら・・・と切に思った次第です。 |
大野和士 |
私がオペラに惹かれるわけは、基本的に以前と変わっていません。 まず、歌、人間の声というものが音楽の原動力であると思うからです。 人間が音楽を通じて感受性を得るに至ったおおもとには、「雄叫び」があります。 次に、オペラにはテキストを伴うことです。音楽が人間の感情と直接に結びつき、それがゆえに、より直裁に訴えかけてくるからです。 さらに響きとしての心地よさ。人間の声を支えるオーケストラの音。オペラをやる、オペラを知っているオーケストラの音と、そうでないオーケストラの音とは根本的に違う。 なにか母胎に包まれているような、安心感を与えてくれるのです |
[ kanazawaさんの質問 ] カールスルーエでは大野さんのPfで室内楽の演奏会があるようです。
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大野和士 |
室内楽は、年に1回だけですが、楽員との呼吸を大切にするために行なっています。 指揮者は音を出さないものですから、たまには音を出したい欲求に駆られるのです。 それと、ピアノの腕を保つため(笑)。 学生時代は、ソプラノ、アルト、テノール、バスの友人を1人ずつ持ち、彼らをピアノで伴奏した。 レパートリーを拡大するためにも役立ったが、歌手たちとの呼吸の取り方の勉強にもなった。 曲目は、楽員の希望です。 ドイツ人はジャズ系統の音楽を好みます。ワーグナーの対極にあるような、軽さと洒脱さが受けるのでしょうか。編成も2〜3人からできる、手ごろな曲が多いことも選曲の理由です。 |
[ 島田昌幸さんさんの質問 ] 小生は大野さんの東フィル以外の在京オケへの客演にも注目しております。 今年は12月に都響がありますが、来年以降に都響やN響等々への客演の予定はあるのでしょうか。 と云いますのも、95年のN響とのツェムリンスキー、昨年の都響とのチャイコフスキー、モーツァルトから圧倒的な感銘を受けたものですから。 あと新国立劇場への再登場は何時頃になりそうでしょうか。 以上の点を、どうぞ宜しくお願い申し上げます。 |
大野和士 | 今のところ、12月の都響以降の予定はありません。 新国立劇場への再登場も、当分ありません。 |
6,今後の指揮活動の予定 |
そうすると、日本で大野さんの指揮する音楽を聴く機会は、今後さらに減ってしまうわけですね。 しかし最近は、海外に聴きに行かれる方も増えています。今後の指揮活動の予定を教えてください。 インターネットなどで探していますが、手がかりが乏しい。 |
大野和士 |
日本国内では、今のところ、今年8月のオテロ(オペラコンチェルタンテシリーズ)と鎌倉芸術館の公演(8月27日)、12月の都響と東京フィル以降は、全く決まっていません。 新たにオーケストラの客演の話があるのは、ボルドー管弦楽団でシューベルトの交響曲第8番ほか、BBC交響楽団では放送用のスタジオ録音、シアトル交響楽団はドボルザーク、リール管弦楽団(フランス)ではメシアン、フィンランド放送交響楽団とは「英雄の生涯」。つい数日前にストックホルム・フィルから連絡が入ったが、曲目などは未定です。 |
この夏、冬の4つの公演は絶対に聞き逃せないわけですね。 |
大野和士 |
ぜひ、カールスルーエにもブリュッセルにも来てください。
(2000.4.22 up) |