yo-yoさまにご投稿をいただきました。 |
以前、「深き陽炎の記憶から(ゲストブック)」で話題になった『摩利と新吾』の結末について綴ってくださいました。ネタバレなので、こちらに収録します。 |
わたくしが今日お話したいのは、かの「まりしん」の結末部についてです。ハッピーエンドなのかどうか、という二分類には興味がありませんが、双方の心情につい て想像してみました。 |
摩利については「思い残すことはない」の一言ではないでしょうか。死ぬのなら新吾と共にみたいなセリフはありますが、何と言っても自分の気持ちを貫き、ホンモノ になったのですから。性的欲求に基づく一体感を達成できなかった、という思いはもう昇華されていたことと思います。 |
問題は新吾さんです。彼はやはりあの時代の日本男児であり、時代・文化・社会の価値観、道徳観、人生観、想像力の限界内に「まっとうな男」として生きる以外道のなかった人なので、自分の内面を深く取り扱うことができなかったのです。「家を興し・・・云々」と。
もちろん無意識にではありますが、自分の内面を見ようとせず、外の尺度に自分を合わせて生きた悲劇は最後に鮮明になりました。 (2003.01.09 up)
|