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 2006年1月16日 その1


 あけましておめでとうございます。今年も先生の作品を楽しみにしています。そして、新年からビッグニュース、NHKの「THE少女まんが!」にご出演になると――。

 そうなのよ。表面に出るのは私、苦手だし…。でも、友人のマンガ家さんの強力なプッシュもあり、一回くらい出ておいてもいいかなって思ったので、今回はお受けしました。

 ということは、中学生のときにNHK教育テレビに出て色鉛筆セットをもらって以来のテレビ出演でしょうか?

  
画集『吟遊詩人』「わたしのまんが履歴書」より


 あれはモブだったけどね。
 うーん、今回はどうなるかしら。
 ドキュメンタリーは、出演者といえども放送前に見せてもらえないのよ。どんな番組になっているのか、オンエアされるまで私にもわからないの! だから、すっごくドキドキしています。

 それでね、『摩利と新吾』がタイトルになっているけど、『夢の碑』から『雪紅皇子』もとりあげています。
 最初に『縞りんご』でお話が来たときに、「私には『摩利と新吾』のキラキラの叙情派系と、『夢の碑』のデカダン系の二つの柱があるんですよ」って言ったのだけど、「今回は『まりしん』だけで構成します」ということで、いったん収録を終わったのよ。
 ところが、インタビューで質問にいろいろ答えているうちに「新古今集」を好きだとか話が流れたものだから、制作会議で「もしかして、木原さんは世紀末とか好きなんじゃないか?」という話から始まり、番組全体の全体の流れを『しまりんご』だけを語るのじゃなくて、『夢の碑』も含めて広く語ってもらおうということになって、『夢の碑』についても追加収録したいということになって――。
 ええ、私もよろこんで協力させていただきました。もうひとつの柱だものね、私の。

註 : 最初、番組サブタイトルは『摩利と新吾』で告知されたが、のちに『木原敏江の世界』に変更された。

 昨年(2005年)11月から12月末にかけて、追加分を入れて5回、自宅と縞りんご山荘(蓼科にある別荘)で収録が行われました。
 そうだなあ、欲を言えば、体調万全のときに収録できれば良かったのだけど。
 今、『杖と翼』の文庫版用に追加原稿を描いています。だから、よろよろ、ぼろぼろなのよ。歯も腫れているし…(泣)
 特に、信州の縞りんご山荘のときは、左目が爆発しちゃって真っ赤に充血しているの。あまり目立たないといいなあ。そういえば、お化粧もほとんどしていなかったわ。
 母に「指輪ひとつしていないわよ」って言われて、「あ」っと思ったけど、もう撮影は終わっていました。仕方ないわね、あはは。
 信州ではね、少しだけど車で山荘のまわりを走ったんですよ。私が運転して、後ろにNHKのスタッフの方々が機材を抱えて乗り込んで。そう、私のシルバーのアウディで、びゅんって。
 この場面がオンエアされるかどうかも、謎だけど(笑)

 55分の間には『摩利と新吾』と『雪紅皇子』の作品紹介も入ります。
 ……だからね、これが一番のスリルとサスペンスなんだけど、声優さんが入る可能性があるのよ!
 いったい誰が「うむ、新吾」(と言う摩利)を演(や)るんだ? ――ふふふ、この話をすると、みんな絶句するのよ。


 うううう…。NHKのスタッフの方は、新吾くんより摩利くんのほうが「少し声が低い」と認識しているのでしょうか?

 さあ? どちらにしても、聞きたいような、聞きたくないような(笑)

 私は、主上の「映(はゆる)さん」のほうが怖いかも…。まったくギャグの要素を持たない悲劇のキャラクターだから、自分の中で茶化しようがないもので(汗)

 そうね、映さんの「主上(おかみ)」も怖いわね(笑) ううむ、どうなることでしょう。


『摩利と新吾』vol.5の『わっしょい!!』より


 取材を受けながら、このお話を受けてよかったなと思ったのは、スタッフの皆さんがちゃんと私の作品を読み込んくださっていたこと。今まで雑誌のインタビュアの中には、作品もろくに読まないで、人づての話や世間の論評ですませる人もあったけど、今回は全然違いました。
 制作陣の中には、歴史や俳句の教養番組や美術番組を担当している方もいたそうで。
 どちらも、とてもうれしかったです。

 でも、歴史や和歌や絵画の話ばかり多くなったら、「THE少女まんが!」というタイトルからかけ離れちゃうわね。他の回と毛色が違いすぎることになってしまったら…。
 そうね、仕方ないわね〜とも思うけど、う〜ん。

 だって、私は立原道造とか詩が好きで、絵を描くのが好きで、お話を考えるのが好きで、そうしているうちにマンガという表現形態に出合って、ありがたいことにそれが仕事になったのよね。
 特定の先生にあこがれてあこがれて、だからマンガ家になりたくてというケースではなかったわけで…。
 そんな話もしたけど、これもオンエアされるかどうか。

 あとね、いきなり絵を描く羽目になったの。ペンによって線の太さがちがうとか。下書きもなしで描きましたって、キャプションを入れるようにお願いしたけど、これもドキドキだわ。
 約30時間の取材プラス作品紹介が55分になるのだから、どんな番組ができるのか、まったく見当がつきません。私も、ドキドキしながら25日の放送を楽しみにしています。
 それでも最初で最後の私のテレビ出演です。よかったら見てくださいね。


文中の作品の単行本収録は以下のとおりです。 詳細は拙サイト書籍資料をご参照ください。
『雪紅皇子』 小学館文庫 夢の碑シリーズ6『雪紅皇子』
小学館PFコミックス 『夢の碑』14巻〜15巻
『摩利と新吾』 白泉社文庫『摩利と新吾』全8巻


この番組に対する管理人ゆりあの感想は「白昼夢の碑」のコーナーにあります。

2006年1月16日電話にて
引用転載厳禁
(2006.1.21 up)

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2006年1月16日 その2

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