◆◆ コンサートレビュー 18 ◆◆ |
ロンドン・プロムス(2006年 8月 3日 ロイヤル・アルバート・ホール) |
プロムス公式サイトに引用された公演批評(和訳) |
細川は、音色に対して鋭敏な耳を持った作曲家であり、最小のものから、いかにして最大のものを導くことができるかを知っている。 大野とBBCウェールズ響は、精妙さという点で、小さな奇跡を達成した。 それは「循環する海」のみではなく、それとはいささか趣を異にした、明暗が絶えず行き交う、 ショスタコーヴィッチの15交響曲に至るまでだ・・・ 大野と彼のプレーヤーたちは、すべてを難なく乗り越えていったのだった。 イブニング・スタンダード紙 Hosokawa has an acute ear for timbre, and knows how to make much from little. Kazushi Ono and the BBC National Orchestra of Wales achieved small miracles of subtlety, not only in Circulating Ocean, but, to rather different effect, in Shostakovich's Fifteenth Symphony, a work that veers unsteadily between light and dark ... Ono and his players took everything in their stride. THE EVENING STANDARD 2006-8-8 |
大野は、感心するほど、隅ずみまで神経の行き届いた演奏をする指揮者だ。 細川の響きの茂みの中を、巧みにBBCウェールズ響を操るかと思えば、 バリトン歌手クリストファー・モールトンが明示した、マーラー「さすらう若人の歌」における絶望への旅に、 繊細かつ詳細を極めたサポートで寄り添う。 そして最後には、20世紀の交響曲の中でもとりわけ謎につつまれた作品に対し、確固たる回答を出した。 どんな演奏を聴いても、答えが出るというより、より一層、謎を喚起することが常である ショスタコーヴィッチの交響曲第15番に対して。 ザ・ガーディアン紙 |
Ono is an impressively attentive conductor. As well as steering the BBCNOW expertly through the thickets of Hosokawa's score, he ensured carefully detailed support for baritone Christopher Maltman's graphically charted journey to despair in Mahler's Lieder Eines Fahrenden Gesellen, and then gave a measured account of the most enigmatic of all 20th-century symphonies, Shostakovich's 15th, which with every performance seems to raise more questions than it will ever answer. THE GUARDIAN 2006-8-8 |
(2006.8.9 up) |