マーガレットコミックス(集英社)
お出合いあそばせ

お出合いあそばせ
集英社/マーガレットコミックス 全1巻

DOZIさま1冊目の単行本。
表題作の他、『くれないに燃ゆるとも』、『5,600万km恋歌』を収録。

三作とも近衛京四郎、裾花の月王、そして、プレシ・ベリエールのフィリップとそれぞれに違う名前で、“うるわしのフィリップ”が登場する。
ことに『5,600万…』はDOZIさまの全作品を通じて、フィリップが初めて「プレシ・ベリエールのフィリップ」と名乗りをあげるモニュメンタルな作品。
(1999.5.10up)


どうしたのデイジー?

どうしたのデイジー?
集英社/マーガレットコミックス 全1巻

♪〜デイジー、ひなぎく、あかい花、赤毛で、こがらで、ぼくごのみ…
中性風美少年ジギー、宇宙人タッチのコンスエラ、プレイボーイのフィリップ、インテリタイプのスウェン、いずれもその後、DOZIさまの作品で活躍する脇役たちの原型が勢揃いしています。
特にフィリップなんて、『アンジェリク』のフィリップと同じ指(原則左手中指だけど時々変わる)に同じ指輪してるんだもの。あの、まわりがダイヤでずらっと取り囲まれた巨大なルビーの指輪を! たまりませんわ!

『娘よ青空のように』を収録。
(1999.5.10up)


エメラルドの海賊 前編 エメラルドの海賊 後編

エメラルドの海賊
集英社/マーガレットコミックス 前後編
前編には『愛は不死鳥のように』、後編には『銀色のロマンス』を収録。

小国ダンセイニ、大国サングリアル、そしてサングリアルの事実上の支配国イギリス。 各国の政治的思惑、若者の恋模様、大人たちのかつての恋への追憶が交錯するDOZIさまの初期の歴史ロマン。
フィリップは“透明な北欧の陽に輝く銀色の髪”で登場。苦悩と活躍がきらきら光って、私が一番好きなフィリップ。
そういえば、ロウィーナはひらがな時代のDOZIさまの作品では珍しく、「発育不良の豆ダヌキ」と呼ばれないヒロインです。

『愛は不死鳥のように』は2次大戦のドイツ軍将校が主人公の、昭和40年代の少女漫画には珍しい(お涙頂戴ではない)戦争モノ。ドイツ軍の軍服がかっこいい。
(1999.5.10up)


あーら わが殿! 前編 あーら わが殿! 後編

あーら わが殿!
集英社/マーガレットコミックス 前後編
後編に『死んでもいい』を収録

1977年から始まる大長編『摩利と新吾』の原点です。 印南新吾、鷹塔摩利、藤村月夜麿、白菊丸、大江山将鬼、風魔教授、私立持堂院高等学校、全猛者連…みんな、ここで初登場。

ヒロインの「発育不良の豆ダヌキ」ちゃんの名前は森みちる。 『摩利と新吾』にも彼女の顔が見えて、おやっと思ったら、"林みち子"と名乗ったりして。こらえきれず爆笑。

『摩利と新吾』では衣裳持ちの摩利だけど、お気に入りのセーターはこの時から変わっていないのね! うん、似合っていますよ、あれ!

なお、後編の表紙折り込み部分、「里芋の葉っぱを傘にしている子供たち」の絵は マーガレット1973年51号の綴込みのカレンダーに描かれています。
(1999.5.10up)


銀河荘なの! 前編 銀河荘なの! 後編

銀河荘なの!
集英社/マーガレットコミックス 前後編
後編に『いとし君へのセレナーデ』を収録

この作品からも魅力的なそして後年、大活躍するDOZIキャラが誕生しています。 薔薇だらけの銀河荘に住む"うるわしの四兄弟"、ヘルメス、イカルス、オルフェウス、ジークフリート。
フィリップの思い出も語られるし、エドガーもアランも特別出演しているし…。 至れり尽くせりの少女漫画、頬がゆるみます。 (萩尾望都、大島弓子、忠津陽子、島津響子、花郁悠紀子、名香智子、あべりつこ、佐藤史生などなど、超豪華アシスト陣です!)

ちなみに、後編のカバー折り込み部分の「オープンカーに乗っているフリートとトリア」は1974年33号のマーガレットの表紙を飾った絵です。

『いとし君へのセレナーデ』は小品でも油断できません。
『摩利と新吾 vol.14 青嵐』の酒場の場面(花とゆめコミックス『摩利と新吾11』P91)で、フランケンがビールを運んでいる女の子に「ケティさん」と呼びかけているのは、この作品ゆえと思われますから。 ケティの姿は全く違いますが。
(1999.5.10up)


天まであがれ! 1 天まであがれ! 3

天まであがれ!
集英社/マーガレットコミックス 全3巻

新選組をDOZIさまが語ると、こんなロマンになります。

この連載が始る前、マーガレット誌上で、DOZIさまは「着物の絵を描くのが好きだから、今度は着物がたくさん描けて嬉しい!」と抱負を語っていました。

新選組の物語がハッピーエンドになるはずはなく、だから、いつものロマコメタッチでありながら、冒頭から常に流血の惨劇への予感が通奏低音のように流れ続けて、歴史の大きなうねりには抗えない人々の苦悩がそれぞれに描かれてゆきます。
どんな状況に置かれても真っ直ぐに目を上げて生きてゆく青年像は、DOZIさまがお得意とするところですが、真っ直ぐであるほどに切なさが募ります。
(1999.5.10up)