sakuraさん がBBSにご投稿くださった『摩利と新吾』の感想文の転載です。
転載を快くお許しくださいましてありがとうございます。
胸が痛い・・・
失礼します。感想を書かせてください!(長文で、ゴメンナサイ・・・(-_-;))
「摩利と新吾」を数年ぶりに読み返しました。私は今27才ですが、初めてこの作品に出会ったのは、 小学一年の夏休み、という、とっても早い時期でした。(昭和56年当時は、まだ篝(かがり)が出てくる シリーズまでしか単行本が揃っていませんでしたが・・。ちなみに、単行本は姉所有です)
今回、図書館で全巻を借りてきて、もう、ソワソワしっ放しで読み切って、呆然としつつもむせび泣きました。 嗚咽を上げて、しゃくりあげて・・・・・・。
私はどちらかというとクールなタチで、漫画を読んで泣くなんてことは、ほとんどないのですが、 もう、胸が痛くて、切なくて、苦しくて、複雑な思いで今もいます。
読み切って今日で3日目なのですが、まだ胸が痛くて痛くて、切なくて仕方ありません。
家捜しすれば、恐らく、白泉社の単行本「摩利と新吾」が、10巻辺りまでならあるでしょうが、私は 今日、本屋へ走って、文庫本を1から全部揃えてしまいました!
ついでに、これも同じ図書館で借りてきて感動した「風恋記」上・中・下なども購入し、古本屋では絶版の ドジさま本を買ってきて、今日は思わず散財してしまいました(^_^;)
でも、後悔はしてませんよ。お金を出しても惜しくない本なんて、昨今、ほとんど見かけませんから!
私は、「摩利と新吾」では、新吾くんファンです! 新吾くんは、今回初めて分かったのですが、小1からの、 私の理想の男性像だったのです!(^_^;)どうして今まで気付かなかったのでしょう! 漫画の世界だったから でしょうか・・・? ああ、新吾くんのことを考えるだけでも、太陽を浴びているような、温かな気持ちになれます。
でも、私は、「摩利と新吾」は、やっぱり二人で一つだと思っています。二人一緒でいてほしい、たとえ摩利の 恋が叶わないとしても、それでも、いつも二人一緒でいてほしい・・・、そう思っているのです。
だから、続編の、新吾とほとんど絡まない、摩利の「欧州秘話」は、何だかとっても切なくて、更に胸が 痛くなってしまいました。(-_-;)
ちなみに、新吾くん側の続編ってないんでしょうか・・・?
摩利は、新吾といてはじめて輝きを増し、新吾も、摩利といてはじめて存分の笑顔を振る舞えるのだと 思うから・・・。摩利と新吾は、遠く離れていてもおみきどっくりだったけれど、やっぱり近くにいて、他の皆を 魅了してやまないおみきどっくりでいて欲しかったな・・・と、思わずにはいられないのです。
もちろん、あのラストシーンに不満があるとかいうのではないです! もう、他の誰にも描けない、本当に 美しいこの話を、私は本当に心から敬愛しているのですから・・・。
私は、摩利と新吾が誇らしくてなりません。二人だけでなく、けなげに生きる女の子たちや、厳しくも暖かい 教授がた、持堂院の先輩、後輩のみんな、全てが誇らしくて、愛しくて、大好きなのです!
本当に、ドジさま、素晴らしい話を有り難うございました!
もう、これしかありません! 大好きです。
ありがとう。バッキャロー! !(^O^)!
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新書館 1984年6月25日初版
熱い想いですね〜。『縞りんご』ファンなら読みながら「うんうん、わかる、わかる」うなづいてしまうのでは ないでしょうか。
文中で話が及んでいる『風恋記』(ふうれんき)は、 『夢の碑シリーズ』の 一話です。
悲痛な経験を重ねてもおおらかさを失わない融明(とおるあき)と、本当は底知れない力を 秘めているのに、はかなげな美形が何故か男心をそそるらしい露近(つゆちか)。 鎌倉時代を舞台にしてのおひさまと月の取り合わせです。 後鳥羽院は、実力と権力を兼ね備えて手札は全部オールマイティ、全身、 自信の塊のような帝王で、どことなく夢殿さんの面影を見たり・・・。
sakuraさんがおっしゃるとおり『摩利と新吾』は、思い入れを持って読み進めてくると、 終盤でとても複雑な気分になりますよね? この最終局面について、DOZIさまがお話になっている対談をご紹介いたしましょう。
右の新書館・『美少年学入門』(中島 梓 著)、この中に、「持堂院を巣立った 仲間たち」というタイトルで、DOZIさまと中島 梓 氏の対談が収録されています。 タイトルからも明らかなように、話題は『摩利と新吾』についてのあれこれです。
しかも、この対談の日付は1984年3月となっています。『摩利と新吾』の最終回は LALA1984年2月号ですから、連載終了直後のDOZIさまの思いが語られているのではないで しょうか。
中島 それでも結局あれはハッピー・エンドだったんでしょ、ね?
木原 そう、あれはハッピー・エンドなの。なぜかあれはハッピー・エンドなんですよねえ。(同書 P219 より)
2段組12ページにも及ぶ対談を、こんなふうにブツ切りにご紹介するのは、いささかナンセンスですが・・・。 それに、DOZIさまにハッピー・エンドといわれても、sakuraさん同様に、私としては何か胸に切ないものが残る 結末であることには変わりはないし・・・。
この対談では、『摩利と新吾』がなぜ、あのような結末になったか、どのような思いで描いていらっしゃったのか 等等を、DOZIさまが登場人物へのあふれる愛情とともに、読者の多様な受け止め方を喜びながら語って いらっしゃいます。
集英社文庫
昭和62年11月25日初版
そして、すでに後日談としての続編が、欧州を舞台にした摩利くんの物語を志向する理由なども語られています。 絶版している本ですが、図書館などで見かけることがありましたらご参照くださいませ。 『縞りんご』ファンにはとても楽しめる一冊だと思います。
(ご参考までに、『美少年学入門』は集英社文庫にもなりましたが、こちらは中島氏のエッセイだけでDOZIさまはじめ 青池保子氏、竹宮恵子氏などお歴々との対談は収録されていません。ただ、後書きをDOZIさまが書いています。)
今回は“参考文献のご紹介”に終始しましたが、コメントの余地のない思いのたけを綴って下さった sakuraさまに免じてお許しくださいませ。
なお、sakuraさんはご自身のHP、 その名も 『サクラ前線』で、DOZIさまをはじめとするお気に入りの漫画への熱い思いや、 自作の童話・小説などを発表していらっしゃいます。
(2000.6.29 up)