永井豪先生、石川賢先生をはじめダイナミックプロの作品を愛する人たちが50人以上集まった
熱いオフ会のレポートです。
DDD総会とその前後のこと
〜〜 オフ会レポート 〜〜
電脳ダイナミック同盟を
略してDDDといいます。
ライカ様はご夫妻で、東京・六本木で開催されたこのダイナミック・オフ会に、仙台から駆けつけてくださいました。
ご夫妻でダイナミック三昧の一泊二日を過ごされた感動のレポートです。
なお、「“ダイナミック”って何?」とお思いの方は、
『白昼夢の碑』のページ
「11,[ オフ会顛末記 ] 電脳ダイナミック同盟総会」で
ご説明していますので、ご参照くださいませ。
3月18日13:00、私と夫を乗せた政宗号は新宿南口に着いた。
5年ぶりの大都会東京である。風邪は根性でねじ伏せた。
さあ、まずは石川賢展だ!青山だ六本木だ!と張り切る私に、
夫 「渋谷のVOLKSへ行きたい」
まあ、いいかと譲歩する。渋谷駅前は新宿以上に人&人&人だ。まるで仙台七夕祭り初日のようだ。
私は人ごみの歩き方が下手で、どんがんぶつかってばかりいて、ちょっと歩いただけでヘトヘトになった。
道を一度間違え、ぐるうりと一回りしてからやっとボークスに
辿り着いた。
夫はとり損ねたUFOキャッチャのキーホルダの前に座り込んでしまった。
「取った、取ってない、取った、取った、取ってない」
まるでヒヨコの選別作業だ。
そう言えば、5年前ここで来留間慎一を買ったっけなあ。
でも、色を塗る度胸がないので、5年経っても我が家の魔獣は色白のままだ。
15:00を回り、私はイライラしてきた。石川賢展を観る時間がなくなるではないか。
夫のケッツを蹴るようにして店を出た。
さあ、青山だ六本木だ、と思って振り返ったら、
夫 「まんだらけに行きたい」
私のこめかみに四つ角が出来た。
我々は険悪な雰囲気で、ラブホテル街の中へ入っていった。そうなのだ。
我々の記憶では、まんだらけはどういう訳かラブホテル街の真っ只中にある筈なのである。しかし。
ない。行けど戻れどまんだらけはない。今日の皆さんの予定表をみると渋谷まんだらけ、
とあるから、渋谷なのは確かなのだが…
行き交う男女の視線を避けてるるぶ東京2000年度版まで見たが、
どうしても見つからない(彼らは、我々がどんなページをチェックしていると思っただろう)。
ぶすくれた顔で同じ道を三回行き来して、夫は諦めた。
石川賢展だ。やっとついた。見ると17:00までとある。
すでに16:15だ。全部見るのに二時間もかかるんだったらどうしよう!と悲鳴を上げ、
エレベータに乗った。2Fだ、と2を押そうとしたが2がない。仕方なく3を押す。降りて下への
階段を探す。ない。ここだ、と思って戸を開けたら給湯室だ。ここは
魔界の入口か?さすが賢先生だ。
再びエレベータに乗って1Fに降りた。ちょっとウロついてやっと賢展への道を探し出した。
入った途端、サイン会のお知らせの文字とジュースが目についた。何故ジュースが…?
これを買うとサイン会の整理券がもらえる、という絵を恨めし気に眺める。
サイン会は来週だ。今日これからやってくれんかのう、と思っている私の脇で、
夫はお姉さんにサイン会の仕組を聞いている。
あー、なるほど、と言ってから、
夫 「なんだー、やっぱり来週来てサインもらえばよかったかなあ」
全然理解していないことを露呈した。だから、整理券は今日もらって、
サインは来週なのだとお姉さんと私が説明する。よせばいいのに、
夫 「で、もう整理券はないんでしょう?」
お姉さん 「いえ、まだありますけど」
聞かなければよかった。あー…くそー…
賢先生の絵は美しい。
そして、寂寥と孤独に満ちた美しさだ。極道な絵でも、ドワオな絵でも、どこかに、
遠い茫漠とした寂しさがある。
永遠という淵の、縁に立って、見下ろしているような寂しさだ。だから、賢先生のキャラクターの目は、
永遠を内包していて、あまりの深さのために渦を
巻いている。(この辺、ちょっと錯乱気味)
賢先生が根気よく何度も何度も「こんにちは、石川賢です」と言い続けるテープを5回くらい見て、
出た。ちょっと…ちぃさかったかなぁ…とも思ったが、一時間内で観られたから逆に良かったとしよう。
夫が電話をかけるという。
私 「もしや、横浜のおにいさんに電話して、サイン会に来てくれって頼むんじゃないだろうね」
(内心:おにいさんがウンと言ってくれたら、嬉しいんだけど。
キャッ)
夫 「違う。まんだらけの場所を聞くんだ」
まだまんだらけか、あんたは…
聞くと、まんだらけは3年ほどまえに引っ越したそうだ。場所は、最初にさんざん歩いたあたりらしい。
でも勿論行く暇はないからね!と、隙あらば「行く」と言い出しそうな夫にわめきちらして、
次はホテルとマキムシだ。迷わずに行けるだろうか?
ホテルのフロントに「俳優座ってこの道をまっすぐですね」と聞いたら「俳優座ってどこですか」と
聞き返された。それでもフロントか!
しかたないのでIKEDA様の地図とるるぶ東京の教えてくれる通りにずーっと歩き続けた。
華やかな六本木の駅前を通りすぎる。
「あっ、あれが有名なアマンドだ!」田舎者丸出しである。
夫に至ってはアルモンドってなに?とか言っている。
時計が18:15を指し、不安が許容量いっぱいになった頃、行く手にマキムシの看板が見えて来た。
もう既に店の中は人であふれかえっている。料理がすごく美味そうだ…
受付の美人さん(後
でえみりー部長様
とカランバ様だと知った)にへどもどと名乗りながら、
カバンにつけてきたゲッター1に気付いてもらえて嬉しくなる。と、きれいさんのお一人が、
「あちらがゆりあさんですよ」
私の前方には、みどりの黒髪と、涼やかな眼差しの綺麗なひとが座っていた。
近づくにつれ、そのひとのウェストが私の太モモくらいしかないことが判明した。
どうもこのたびは有難うございましたとわめく私に労いの言葉をかけて下さってから、ゆりあ様はさらりと、
「あちら、桜多吾作先生ですよ」
ひえー。なんといったらいいのか、である。
私が今まで会った有名人は、小学生の時のマチャアキと、10年ほど前に新幹線の中で
見たジャイアント馬場氏だけであった。これからは胸を張って漫画家の
桜多吾作先生だと言える。
桜多先生は、絵柄そのままに、優しく温かく丸い笑顔を
なさっておられた。
ゆりあ様は次々と、名前しか知らない有名人と引き合わせて下さった。
それにしても、ダイナミック関係者はステキな人ばかりだ。これは、本当の事である。
お世話になったからのお世辞では決してない。断じてない。
ふりーく北波様の
足はこんなに長かった。こんなにである。
英様はビジュアル系だ。「エーックス」とか言いそうだ。
私より遥か遠方よりいらしたまさみち様にもお会いできた。
これまたかっこいい。ハマの大魔神に似ていると思う。
賢先生の「まだまだ捨てたもんじゃねえぜ!」が出るとわー連載終わるのかぁー
と思う、と言ったら笑って下さった。少し前のデビルマン
レディの「ミキちゃんがどうしてこんな形で」問題を口に
したら、BBSそのままの熱さで身悶えて下さった。本当に真剣にデビルマンレディを
愛しておられるのだなあ。
あさみぃ様は
飄然としていて中性的な感じの温和な方だった。これはどうも、
と穏やかに言って微笑んでおられたが、肩の辺りからゲッター線が迸っている。
独自の情報網なんか持ってませんよ、とおっしゃっておられたが、きっとあさみぃ様ほど
になればゲッターの御加護があるのだろう。
たろまる様が、
今大地震でも起こってこの場所が壊滅したら、日本における主要なダイナミック関係者が
全滅だと言った。私も、Yahoo!の項目が一個減るなと思った。
3K様にもむりやり話しかけた。石川賢ファンと聞いては黙っていられない。
3K様は普通の女の人には石川賢キャラのかっこよさはなかなかわからないのだと言っていた。
確かに、友人に流竜馬の絵を見せたら「これ敵?」と言われたことがある。
IKEDA様
にマキムシまでの地図の御礼を言った。ワタシらはここにいる誰よりも、
あの地図のお陰を蒙った人間だと思う。ホテルのフロントよりずっと頼りになった。
IKEDA様がネコキック様に差し上げようと持って
来た風忍先生の本を、
一冊、夫ががめた。
「これ欲しかったんすよー!どこにもなくてねー!もらっていいすか?」
お二人に申し訳ない。あー恥ずかしい。
永井豪ファンクラブの方々もいらしていて、
私はH様に88年にあるはずだったイベントのカラーコピーを戴いてしまった。でへでへ。
石川賢先生のサイン本を山ほど見ることが出来た。直筆サインである。
有難い。夫はサインの写真を撮っていた。
辻真先先生と永井豪先生のサインも見せていただいた。有難い。
ゆりあ様にも爆弾お宝を見せていただいた。長生きはするものだ。
お名前を確かめないままに話しまくった方は他にもいる。とにかく、失礼を承知で
言えば、ダイナミックの話で誰とでも話せるのだ。
考えてみればすごいことである。
会も終わりに近づき、私は皆さんの顔を見ながら、去年の8月の頃を思い出していた。
ダイナミック関係のBBSを眺め、すごいなあーでも書き込むなんて無理だなと思いつつ、
リンクの所に「あーらDOZIさま!」という名前を見つけ、わー懐かしい!木原先生大好きだったんだよね!
…でもなしてダイナミックのリンクに木原先生なんだべか?と思った日のことをである。
あの日がなければ今日はなかった。
その後、しばらくの間巨大な人数が夜の六本木をうろうろしていたが、
私は結局、虎喰王様、黒Q様、モンゲロゲー様と5人でカラオ
ケに行った。
ダイレンジャー、ハーロック、宝島、何曲歌ったか?沖田ヒロくんのE気持まで出た。
あれの「Aまで行ったと〜」の3番が「Cまでスムース〜」だと知ったのは収穫だった。スムースかよ!
と頭がくらくらした。
全員でゲッターの「ガン!ガン!ガン!ガン!」を絶
叫し、生きてるって素晴らしいと思った。
3時過ぎ、友情に感謝し、再会を願って別れた。
しかし、私はその3時間後起き出し、ホテルを出た。今日は私の友人と三人で
葛西臨海公園へ行く予定なのである。
公園の入口で友人(仮に、神隼子としておく)と待ち合わせ、水族館へ行った。
入ってすぐ3D映像を見せられる。神隼子も夫も眼鏡をかけているので、ダブル
眼鏡になってかなり笑えた。
サケがこちらにつきささってくるフィルムのあと、マグロの回遊を見た。これはかなりよかった。
素晴らしい。つかまったらひっぱってもらえそうなほどでかい。海のトリトンごっこが
できそうだ。城みちるごっこもだ。マグロにのった少年だ。
マグロ、タコ、イカとくる。腹が減って来た。
神隼子 「『スシネタ』って名前の水槽つくったらいいんじゃない」
私 「その隣りに回転寿司があったりしてね」
神隼子 「時々間違ってイソギンチャクの握りとかも回ってて」
私 「フジツボの軍艦巻とか」
げー。
水上バスに乗る。波をかぶりながらデッキに座る。神隼子が「あれがお台場」
「あれがフジテレビ」「あれがお座敷船」と適当なことを言う。
本当は次に品川水族館に行って、ドーム型水槽(日曜朝の編隊ヒーローもので、
悪の首領基地に使われていた。おしゃれな悪者である)を見る予定だったのだが、
中止した。パレットタウンをうろつき、船の科学館で、腹が裂ける程中華料理を食べた。
時計は3時をまわっている。杏仁豆腐をつつきながら、
神隼子 「そろそろ、新宿へ向かおうか。向こうで一休みしてから…」
夫 「あのー」
二人 「え?」
夫 「渋谷のまんだらけに行きたい」
私はススムちゃんのように大ショックを受けた。これから、
渋谷にいこうというのかぁ?17:30には仙台行きの政宗号が出てしまうというのに。しかし、
優しい神隼子は頑張れば間に合うと言ってしまった。
夫が嬉しそうにうなずく。私は憎しみを込めて睨み付けた。
裂けそうな腹を抱えて三人は走った。ゆりかもめはぎゅうぎゅう詰めだ。
東京の人間は本当に我慢強い。乗り換える駅はなんといったっけ。新橋?船橋?
渋谷駅前は相変わらず仙台七夕だ。どこからこんなに涌いてくるのだろう。
神隼子 「で、場所はどこなの」
夫 「電話では、東急ハンズの裏って言われたんだけど」
神隼子 「裏?…どっちが表?」
さあ…
東急ハンズの前にいる、美容院のチケットくばりの娘さんに「まんだらけ知りませんか!」と聞いても、
首を振られる。得意のるるぶ東京を見ても、まんだらけは載っていないし、時計は4時30分を
まわっている。
私 「こんな時間だよ!たとえ行っても眺めたり選んだりしてる時間なんかないよ!」
夫 「いや、欲しい本は決まってるんだけど…」
私 「なに」
夫 「四丁目の怪人くん」
私 「なにそれ」
夫 「桝谷タケシの。怪艇ポセイドンとか描いた人。ジャンプコミックスで」
私 「説明はええんじゃあ」
更にうろうろし、4時45分を過ぎ、夫がついにもういいと言った。言うんならさっさと言え、
と思った時、B2:まんだらけ、の看板が目にとびこんできた。
私 「あったー!!!!」
三人は下り階段を駆け降りた。駆け下りながら、
神隼子 「あ、一緒に見たバルディオスのポスターだよ。懐かしいー」
そういえばナウシカも999も超人ロックも神隼子と一緒に見たっけなあ。
高校の時は二人ともアニメ野郎だったのだ。ブライガーだのザブングルの話もしてたっけ。
勿論ガンダムもだ。地理の時間にマ・クベの真似をして先生に怒られたりもした。
彼女が浪人したのは、多分私という存在のためである。
まんだらけの入口で夫の帰りを待ちながら、二人はしばし17年ほど前のことを懐かしんだ。
いつの間にやらダブルスコアになっていたのだなあ。時は無情だ。
17:00を回った時、夫が泣きそうな顔で戻って来た。
夫 「なかった」
気の毒ではあるが、今は新宿が先だ。三人は地上への階段を駆け上がった。動悸息切れ、
眩暈。吐きそうになりながら走る。駅に飛び込んで仰天した。きっぷ売り場にもんのすごい行列が!一体これは?
神隼子 「しまった、渋谷を甘くみていた。ていうか、私シブヤ来たの今日初めてなんだよね」
私 「なにー?」
神隼子 「六本木も一度もいったことないよ」
そ、そうか。それはともかく、今はきっぷだ。何とか買って、ホームへなだれこんだ。
次の電車は何分!?と叫んで、二三分で来るから…と失笑された。ちぇっ。
電車の中で足踏みをする。新宿についたのは17:20だった。
神隼子 「そこの横断歩道渡って!」
信号がなかなか変わらない。首がねじまがりそうだ。青になってダッシュする。
気がつくと夫がいない。探すと、ずーっと向こうの方からでかいボークスのフクロを下げて、よろよろ走ってくる。
夫 「足つった」
バス乗り場へついたのは、実に5分前だった。まだあえいでいる神隼子がなんとか手を
振って見送ってくれるのを後に、政宗号は定時に発車した。
新宿の街が後ろへ流れ行く。池袋も流れていく。王子も。さようなら、大都会東京。
さようならDDDの皆さん、石川賢展。すばらしい時を
ありがとう。
車内の、映りの悪いTVではスモウをやっている。裸の男の戦いをしばらく眺めてから、
私はすかすかと眠った。羽生パーキングについた事に全然気付かなかった。
仙台には23:00についた。予定より少し早い。
明日は洗濯せにゃ、と言いながら、今頃、ネットでは、沢山の人があの熱い夜について熱く語って
いるんだろうなあ、と思った。それから、神隼子はちゃんと家に帰れただろうかと。
台所で夫が嬉しそうにIKEDA様からいただいた本を撫でている。
四丁目の怪人くんがなかったことは忘れているようだ。
また今日から貯金を始めよう。次は心ゆくまでまんだらけへ行くといい。
私は今度こそ品川水族館へ行くつもりだ。
(2000.4.4 up)
- GreatRobotJam
- ライカさまのサイトGreatRobotJamには、こちらからどうぞ。
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(2001.10.4 リンク追加)
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