プチフラワー、そしてYOUと立て続けのお仕事を終えたばかりの木原先生にお話をうかがいました |
早速ですが、昔からの読者にとっての謎で、掲示板上で話題になりながら、どうしても結論がでないことをお尋ねさせてください。 『愛は不死鳥のように』(秋田文庫『エメラルドの海賊』に収録)は“レギーネ……”で終わりますが、それはどのような意味があるのでしょうか? |
あと、なにもなしで終わるのが嫌で、単に主役の名前をポンとおいたのかもしれません。 そういうこともするので。それで、カールの“ル”で終わりたくなくて、レギーネにしたのかも。 “E”で終わりたかったのかもしれないな…。韻律にはこだわりますから、その可能性はあります。 このどちらかですね。(笑) 韻律といえば、先生の作品の文章は会話に限らずリズムが良くて、昔読んだ作品が鮮明に記憶に残っているという方がたくさんいらっしゃいます。 多分、“頭で覚えている”のではなくて、“胸におさまっている”感じではないでしょうか。 |
韻律へのこだわりは詩が好きだからです。 中学生、高校生の頃は、詩人になりたいと思っていたんですよ。 それで、立原道造もどきの詩をたくさん作っていました。 それが漫画家になって役に立っているのかもしれません。 同業の友人を含めて多くの方から、私の作品は「どんなに文字が多くても、全部読める」と言っていただけるのも、そのせいかしら。 先生の作品のあちこちに登場している美形キャラのフィリップたち、そのお約束とも言える“目頭の水溜り”はなんなんでしょうか? ビョルン・アンドレセンですよ。どなたにも目頭に涙丘(涙袋)があるでしょう? それがビョルン・アンドレセンは、とてもきれにはっきりと見えていたから、あ、描いてもいいんだと。 それで、描くようになりました。 |
高口里純先生、酒井美羽先生、谷地恵美子先生合作の『女神の見た夢』が、今年(2001年)、双葉社から文庫化されました。
木原先生もゲスト参加なさっているので、あらDOZIの掲示板でも話題になりまして…。
作品は合作ならではのおもしろい展開を見せますが、冒頭の“制作こぼれ話”も楽しいですね。
「構想一晩、ネーム一年、作画一年(不本意 高口談)」とか…。
もう、ずいぶん前のものよね。白泉社の頃だから、そのノリで描いたのでしょうね。 原稿料というか、参加のお礼は絹のパジャマだったんですよ。 里純さんだったと思うけれど、もしかしたら美羽さんだったかしら、白い絹のパジャマを送ってくださったの。 |
このインタビューをご覧下さった高口先生から木原先生へのメッセージです。 掲載をお許しくださいまして、ありがとうございます。 |
木原先生。 御無沙汰してます…って、冗談抜きで本当に音沙汰もなく失礼しております〜〜 御存じの通り、先生に(ずうずうしくも)ゲストで参加していただいた「女神〜」が文庫になりました〜〜はぁはぁ。 御連絡もせずに失礼しました。すいません〜〜 当時の事を考えると、まったくもって冷や汗が…。 本当に快く参加して下さいましてありがとうございました。 こんなに描いていただいている〜〜と改めて感激してます〜〜。 そうなんです。先生にはシルクのパジャマを…(汗) いやゃゃやぁぁ〜 なんというか、まったく恐いもの知らずの三人(酒井。谷地。高口)のとんでもないお願いを聞いていただきまして〜 信じられませんでした! もう、2度とこんな無謀な企画はしません。てゆーか出来ません! 「女神〜」はいい思い出として、いつまでも大事にしたいと思ってます。 木原先生も御多忙とは思いますが、お体に気を付けてお仕事頑張ってください〜〜!! (高口は元気です〜〜!!<どうでもいいですネ ははは>) |
先生方のすてきな公式サイトです | ||
高口里純先生 | 酒井美羽先生 |
昨年2000年7月からプチフラワー(小学館)に連載中の『杖と翼』も好調で、毎回、楽しみにしています。 今年に入ってからキャラたちがますます生彩を放つようになり、と同時に急にリュウが髪を切りました。 何か仕掛けでもあるのでしょうか? 当時の服装は襟が高くて、今、描いている時代はあごが隠れるくらい、時がたつと、さらに高くなって頬骨が隠れるほどになります。 そうすると、どうしても長い髪はサマになりません。 貴族の襟元は、また違うので長髪でも良いのですが、リュウはそうもゆかないから高い襟には似合わない長髪は切ってしまいました。 似合わない美しくない、単にそれだけです。(笑) 『アンジェリク』(秋田文庫)のルイ14世時代、『純金の童話』(秋田書店プリンセスコミックス)のルイ15世時代、そして『杖と翼』のルイ16世以降と、私は勝手にDOZIフランス史3部作と呼んでいます。 そうですね、それぞれ独立した作品ですが、実はつながるものもありますよ。 2001年7月号のプチフラワーで初登場のロシュジャクラン、彼はどこか『アンジェリク』や『摩利と新吾』(白泉社文庫)に登場するボーフォール公爵の雰囲気がありますね。 ボーフォール公は変な人でおもしろいですね。 ロシュジャクランは、そう、髪を内巻きにしたらボーフォール公になってしまったので、外巻きに直しました。 新撰組を描いた『天まであがれ!』(秋田文庫)もそうでしたが、私は“群像”を描いているから、作品を描きはじめた当初は、登場人物が大勢でざわざわしています。 けれども、『杖と翼』も、もう、お話がだいぶ進んできたので、そろそろ主役のアデルとリュウに目立ってもらわないと。あのふたりを軸に物語が進みますから。 そのためにリュウの髪も切ったし。(笑) あ、でも、ダントンも好きで描いています。 全てにきっちりきっちりのロベスピエールもおもしろいけど。
2001年5月28日電話にて
引用転載厳禁 (2001.6.6 up) 書影掲載ページに直接リンクをさせて下さった高口先生の公式サイトにお礼を申し上げます。 (2001.6.8 追記) |