あとがきに代えて |
当初、「2か月で全8回の物語」と心積もりして始めた3本目の妄想竹は、終わってみたら1年1か月、10万字を越える大妄想竹林になっていました。 |
ゆりあ様、立派な妄想竹をありがとうございました。3万ヒットの記念プレゼント以上の重みのある長編小説になりましたね。何よりも欧州での摩利の、私たちが知らない時間を描いたお話としてだけでなく、しっかりとしたビルドゥングス・ロマン(というのでしたっけ?)教養小説、成長して行く姿を描いた小説として成立しているところが、木原先生の作風にも似て、違和感なく気持よく楽しめました。
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摩利くんのアンファンテリブル時代、ボーフォール公にいかにしてラブ・アフェアというものを教授されたか ―― これが美々庵様から頂いた“御題”でした。 |
まずは、摩利成人後の番外編3作をふくめて『摩利と新吾』の中で、断片的に語られるあの時代の摩利と周囲の人々の様子を拾ってみたわけですが…。 |
ボーフォール公とウルリーケ? |
摩利が2回目に渡欧したとき、つまり、新吾が初めて彼女に会ったときにはすでに彼女は未亡人でした。 ということは、その3〜5年前、摩利が在欧中にウルリーケのプラトニックラブにからむドラマがあったのかもしれない。 なにしろ、摩利は「インドの彼」が英国人の父とインド人の母との間に生まれたなど、ウルリーケの初恋事情をかなり詳しく心得ています。 ちなみに、ウルリーケの「インドの彼」と「夫(シュテファンの兄)」は、折々に関係者の間で思い出として語られますが、その姿は回想場面に1回描かれているだけです。 ……、こんな感じでこまごまと作品全編から、摩利をはじめ思音、ボーフォール公、あるいは新吾たちのあの頃の片鱗を拾い集めてその間の空白をつなごうとしてみましたが、さて、つながっているやら、いないやら。 |
先の美々庵さまのご感想へのお応えをかねて、思いつくままにいくつか。 (2002.4.18 up)
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